コウノトリの足跡

こなつには、生まれた時から、額(眉間)とまぶた、鼻の下に「サーモンパッチ」と呼ばれる赤いあざがある。

コウノトリの足跡といわれるサーモンパッチ

これは、毛細血管の異常からくるもので、濃い薄い含め、新生児の2~3割にあるものらしい。

異常とは言っても、1年半くらいかけてだんだん薄くなるそうだ。

ほとんどの子は跡形もなく消える。

顔にサーモンパッチがでる場所は決まっていて、こなつはその全てにあざがある。

しかもはっきりと。

中でも、額に浮かぶサーモンパッチには特徴があって、みんな、判を押したように「Vの字」をしている。もちろんこなつの額のあざもくっきり「V」だ。

新生児の2~3割といっても、大体の子は、「まぶたに少し」程度で、こなつほど濃い子はめずらしい。

あまりに濃くて、分娩台の上から、生まれたての胎脂まみれの状態でも確認できたほどだった。

夫のしょうがは、そのあざを見て、「あれって消えるの?」と分娩室で自身母親に不安を漏らしていたが、

私はというと、産む前の不安がすべて吹っ飛び、ただただ命というものに感動し、

「生まれてきてくれてもうそれだけでありがたい。性別やら何やらなんでもいい。この子の命はすばらしい。」と思っていたので、そんなあざなんてちっとも気にならなかった。

産んでから少し時間がたち、助産師さんが少し言いづらそうに、

「たぶん全部消えるけど、おでこのV字は…消えるのが遅いかもしれない。たぶん…消えると…思うけど…」

と教えてくれた。あざがある箇所の、消える順番まで説明してくれた。

さらに、うなじにも赤いあざ(こっちはウンナ母斑という)があることを指摘し、

「こっちはたぶん残る」

と言う。

助産師さんの雰囲気から、産後の不安定な状態を考慮して、

タイミングを見計らって、さらに言葉を選んで説明してくれているのが痛いほど伝わった。

私はのんきに、優しい助産師さんだなあ~などと思って聞いていたのだが、

逆にその雰囲気で、あ、これは一般的に気にすることなのだな、と気が付いた。

確かにこなつは女の子だし、顔のあざは、私はよくても、この子が気にするようになるかもしれない。もしあざが大きくなっても残っていて、この子が気にし始めたとき、消すすべがあるならそれは知っておきたい。

私がこなつを産んで、初めにネットを開いたのは、母乳のことでも産後鬱のことでもなく、サーモンパッチのことだった。

だけど、あざを消すすべを調べるために開いたその行為は、マタニティブルーになるどころか、産後ハイに拍車をかけることとなる。

素敵な情報が目にとびこんできたのだ。

額のサーモンパッチは欧米で、「コウノトリの足跡」と呼ばれているらしい。

額の「V字」を見てみると、確かに鳥の足跡に見える。

…か…かっこいい…!!!

――こなつは、コウノトリの足跡をつけて生まれてきた。

やっぱり奇跡なんだ!――

落ち着けあの時の自分。

 

コウノトリの足跡 サーモンパッチ

切迫流産、切迫早産を経験したこなつ。

どちらも自宅安静の範疇で、大事には至らなかったけれど、

母親の私は「願う」以外、何にもできないのが常だった。

願ったからといって、私の願いが通じたという表現も大きく違う。

生や命というのは神秘的で、どうにもできない、どうにもならないことがたくさんあるのだと、ほんの一年弱、自分とは別の命を預かって知った。

みんな、いろんな思いをかかえて生きている。

みんな、願うしかないことがある。

だから、私の願いとは全く関係のないところで、

たまたま偶然、本当に奇跡的に通りかかった心優しいコウノトリが、必死にここまでくる手助けをしてくれたみたいで、私はとても嬉しかったのだ。

なんとか頑張ったこなつと、彼女を運んだコウノトリ。

その足跡をつけたこなつ。

土佐弁えい

今となれば、マタニティブルーを防ぐために、そういう呼び方になっているんだろうなあ…

と冷静になれるけど、あまりに嬉しくて、お見舞いに来る人来る人に、V字を見せては自慢してしまったのだった。

…自慢に思われてないだろうけど…

かまんが

未来のこなつは「これはコウノトリの足跡なんだよ」っていうと、かっこいい!と思ってくれるかな。

そうだといいな。

———————————————

ちなみに、サーモンパッチを消すのはレーザー治療になるそうです。

年齢によっては全身麻酔になるとか(怖い!)。だけど消すなら肌が柔らかいうちがいいとか。情報いろいろでした。

こなつの今(5か月)はというと、助産師さんの言った通りの順番で薄くなり、少し目立たなくなってきました。V字はまだまだはっきりと赤いけど、いつかこなつが何か言いだすまでは何もしないつもりです。

サーモンパッチは、毛細血管のあざなので、泣くと色が濃くなります。

その色で、怒りの本気度が分かって面白い…。

「サーモンパッチまっかっか!」

本人の本気を無視して、泣いてても可愛くて笑ってしまうのでした。

あ!ちなみにちなみに。残ると言われたうなじのウンナ母斑は、「コウノトリのキスマーク」というそうです。

土佐弁えい

スポンサーリンク